近年、魚の行動を詳しく調べる手段として、電子タグという技術が使われています。
この電子タグを使った研究で、東京湾のマアジの行動について興味深い事実が確認されました。
それは――
昼と夜で、遊泳層が大きく変わる
ということです。
これは、釣果にも直結する可能性がある重要な情報です。
っと、少し大げさに言ってしまいましたが、面白いネタなので、良かったら読み進めてください。
電子タグとは何か
電子タグとは、魚に取り付けて行動を記録する小型装置です。
センサーが記録するのは、主に次の3つです。
- 水深
- 水温
- 照度(明るさ)
このうち照度のデータから昼か夜かを割り出し、その時間帯にどの水深にいたかを組み合わせることで、移動のタイミングや行動パターンが見えてきます。
今回紹介するのは、水産研究・教育機構が東京湾のマアジを対象に行った電子タグ調査(2026年公表)です。横須賀市走水周辺で電子タグを装着して放流し、再捕獲された個体のタグからデータを回収しています。
研究で確認されたマアジの行動
電子タグのデータから、これまで断片的にしか分かっていなかったマアジの生活パターンが、より具体的に見えてきました。
主な結果は以下の通りです。
- 日中は比較的深い層にいる
- 夜になると浅い層へ移動する
- 季節によって利用する海域や水深が変わる(冬は湾の中央部から深い湾口部へ)
さらに興味深いのは、最長で放流から250日以上にわたって行動が記録された個体や、水深300m近くまで移動した個体も確認されているという点です。
私たちが普段釣っているアジは、港や沿岸の比較的浅い場所にいる魚というイメージがあります。
しかし実際には、季節や時間帯によって遊泳層を変えながら、想像以上に広い水深や海域を行き来している個体もいる――。
そう考えると、マアジという魚はまだまだ奥の深い存在だと感じさせられます。
つまり、マアジは時間帯や季節によって大きくレンジ(深さ)が変わる魚だということです。
なぜ自分だけ釣れないのか
釣りの現場では、こんな状況があります。
- 潮は動いている
- ベイトもいる
- なのに自分だけ釣れない
こういうとき、原因は「魚がいない」ではなく、レンジが合っていないだけという可能性があります。
個人的に、この研究を見てまず思い出したのが、まさにその光景でした。
自分は全然釣れないのに、隣の名人だけバンバン釣っている。同じ港で、同じ時間にやっているのに、なぜか差がつく。あのとき感じていた違和感の正体は、これだったのかもしれない――と、妙に納得しました。
釣れないとき、人はつい、
- ワームの色かな
- ジグヘッドの重さかな
- 誘い方が違うのかな
と考えがちです。
もちろんそれも大事ですが、もっと根本的に、アジがいる遊泳層にルアーを通せているかの差が大きいのかもしれません。
名人は、その時間帯の正解レンジを経験的に見当づけているだけでなく、反応がなければすぐにレンジを探り直すのがうまい。当たりの層を素早く見つけて、そこに通し続ける。だから同じ場所でも、隣でバンバン釣れるわけです。
一方でこちらは、最初に決めた一つのレンジを信じ込んで、魚がいる層の上や下をずっと引き続けてしまう。だから反応が出ない。
今回の研究を読むと、そうした釣り場でよくある光景に、かなり納得感があります。
実釣への具体的なヒント
研究結果をそのまま釣りに当てはめると、次のような考え方ができます。
昼の釣り
- 底付近
- 中層より下
- 深めのレンジ
が有効になる可能性があります。
ただし堤防からの陸っぱりでは、昼の深場まで仕掛けが届かないことも多いです。その場合は昼に無理をせず、夜に浅い層へ出てくるタイミングを本命と考えるほうが現実的です。
夜の釣り
- 表層
- 中層
- 港内や常夜灯周り
で反応が出やすくなる可能性があります。
これは堤防アジング・サビキ釣り・船釣りなど、釣り方を問わず共通して意識しやすいポイントです。
多くの人は時合いや潮、天候を重視します。もちろんそれも大切ですが、今回の研究が教えてくれるのは、時間帯によって狙うべき遊泳層も変わるということ。潮や時合いと同じくらい、時間帯と遊泳層はセットで考える意識が効いてきます。
現場感覚の裏付けとしても面白い
今回の研究内容は、ベテラン釣り人が経験的に感じていたことと重なる部分があります。
- 夜は浮く
- 昼は沈む
- 時合いでレンジが変わる
こうした感覚は、単なる思い込みではなく、実際に起きている行動だった可能性があります。
特にアジングでは、同じ場所でもレンジを数十cm〜数m変えるだけで反応が変わることがあります。だからこそこの研究は「なるほど」で終わる話ではなく、実釣にもつながりやすい内容だと感じます。
タグ付きの魚を見つけたときは
電子タグの研究は、装着したタグが回収されて初めてデータとして活かされます。
もし釣りの最中にタグの付いた魚を見かけたら、研究機関の案内を確認して、可能な範囲で情報を共有すると研究の助けになります。
私たちが釣っている魚の裏側では、こうした地道な調査が続けられています。その積み重ねが、「なぜ釣れるのか」「なぜ釣れないのか」を、感覚だけでなく根拠を持って考える手がかりになっていきます。
これからも現場の釣り人として、こうした研究にも静かに目を向けていきたいと思います。
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