絶対に折れない。
絶対に伸びない。
そんな**最強の釣り針(フック)**があれば――
「あのときの大物を手にできたのに…」
釣りをそれなりにやっている人なら、
一度はこんなことを考えた経験があるはずです。
そんなとき、ふと疑問に思いませんか?
「釣り針メーカーは、なぜ最強の釣り針を作らないのか?」
結論から言うと
折れない!伸びない!最強の釣り針は存在しません。
少し残念ですが、これが現実です。
では、なぜ存在しないのか。
その理由を順番に見ていきます。
折れる針と、伸びる針
釣り針は、その強度以上の負荷がかかると、
-
折れる
-
伸びる
このどちらかの状態になります。
ここで、少し意地悪な質問です。
「折れる釣り針」と「伸びる釣り針」
どちらが強いと思いますか?
どちらも「弱い」と感じる状態なのに、
「強いのはどっち?」と聞かれると迷いますよね。
でも実は、
釣り針の“強さ”を考えるうえで、この違いが一番重要なんです。
メーカーは「折れる針」か「伸びる針」を狙っている
極端に言うと、
釣り針メーカーは次のどちらかを狙って作っています。
-
折れやすい針
-
伸びやすい針
ただし、この表現だと誤解を生むので、
正確にはこう言い換えたほうがいいでしょう。
-
硬い釣り針 → 折れやすい
-
柔らかい釣り針 → 伸びやすい
素材の性質を知っている人なら、
この時点でピンと来ているはずです。
もう少し分かりやすくするために
釣り針の製造工程を見てみる
釣り針は、主に次の工程で作られます。
-
線材の切断
-
尖頭
-
成型
-
焼き入れ
-
焼き戻し
-
研磨
-
メッキ加工
この中で、
釣り針の性格を決定づける最重要工程が、
「焼き入れ」と「焼き戻し」
この熱処理です。
熱処理とは?
金属材料に加熱と冷却を加え、
形を変えることなく性質を向上させる加工技術
ざっくり言うと、
熱したり冷ましたりすることで、
金属の硬さや粘りを調整する技術
ということになります。
焼き入れ|硬くなるが、もろくなる
刀鍛冶が真っ赤に熱した刀を、
一気に水で冷やす映像を見たことはありませんか?

釣り針の素材である「鋼(はがね)」も同じで、
約800℃まで熱して急冷すると、非常に硬くなります。
これが焼き入れです。
ただし――
硬くなる代わりに、衝撃に弱くなり、
折れやすくなるという性質も生まれます。
焼き戻し|粘りが生まれる
焼き入れした鋼は、
そのままだと実用に耐えません。
そこで、
500℃前後まで再加熱し、
ゆっくり冷やすことで粘りを持たせます。
これが焼き戻しです。
焼き戻しを行うことで、
-
折れにくくなる
-
その代わり、曲がりやすくなる
という性質に変わります。
釣り針メーカーの狙い
ここまでの話をまとめると、
釣り針は、
硬くすれば折れやすくなり、
粘りを持たせれば伸びやすくなる
という関係になります。
硬さと粘りは反比例の関係。
どちらも同時に最大化することはできません。
そのためメーカーは、
-
針先重視
-
強度重視
-
ターゲット魚種
-
タックルバランス
などを考慮しながら、
用途ごとの最適解を狙って作っています。
「折れた」「伸びた」は失敗ではない
「この針は折れるから弱い」
「すぐ伸びるから信用できない」
そう感じることもあると思います。
でも実際には、
-
軸の太さ
-
ライン(PE)の瞬発力
-
ロッドの硬さ
-
魚の引き方
これらが複雑に絡み合った結果として、
折れたり、伸びたりしているだけのことも多いのです。
だからこそ
釣り針の性質を理解したうえで釣りをする
それだけで、
釣りは少し深く、少し面白くなります。
「最強」を求めるより、
「なぜそうなったのか」を考える。
それが、釣り針と長く付き合うコツなのかもしれません。
釣り鈎の基本を知ることも大切です。詳しくはコチラの記事で解説しています。

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