永遠の釣りテーマでもあると考えている「釣り糸」
釣りに関しては、あまり科学が入って欲しくない気もしますが、科学的に解明されれば、それに基づいた有効な手段が得られるかもしれないという期待もあります・・・どっちやねん!
まぁーその釣り糸なんですが、これは間違いなく魚に見えていますよねー
誰がなんと言おうと見えていますよ!
実際に反応しているところを何度も見ているので、そこは間違いない!
では、
「糸が細ければ、本当に魚には見えにくいのか?」
という部分は、どうなんでしょうかね・・・
魚の視力は?
そもそも魚は目が良いのか?という問題になってきます。
以前、「魚は人間を超える4色の色覚を持つ」という内容の記事を書きましたが、これは色の反応なので、視力という点では別物!
なので、魚の視力を調べてみました。
【淡水魚】
オオクチバス(ブラックバス)が、0.10~0.17
【海水魚】
スズキ(シーバス)が、0.12
マハタが、0.24
マダイが、0.16
カサゴが、0.15
メジナが、0.13
大型の表層魚である
マグロ・カジキ類が、0.28~0.56
人間と同じように考えると、この程度の視力では近視となります。
魚って、意外と視力が悪いんですね・・・
魚の近視は間違い
先ほどの視力を見る限り、魚は近視となってしまいましたが、じつはこれ間違いなんです・・・
「魚の眼は近視でも遠視でもない」が正解です。
近視とは、レンズの焦点距離が短く、網膜よりも手前に光の焦点が結ばれてしまうことで、鮮明にものが見えないことを言います。
人間の眼は、レンズの厚さを変えることで遠近調整をしますが、魚の眼は、硬いレンズを微妙に前後に動かし正確に遠近調整を行ないます。
そもそも、人間と魚の眼の構造が違いますので、魚は視力が低くても近視とは言えないんですね。
魚は細い糸も見えている?
では、なぜ魚の視力は低いのか?
それは、網膜の視細胞密度が低いからです。
分かりやすく言うと、画素数の少ないデジタルカメラで撮影するイメージですね。
仮に視力が0.13と低いメジナでも、20センチ先の糸(直径0.06ミリ、ナイロン糸0.1号相当)を十分視認できることになりますから、「釣り糸の存在を知らずにエサに食いつく」ことは考えられない!ということになるそうです。
釣り糸を極限まで細くすることができれば、見えにくくなる!という可能性はありますが、ナイロン0.1号相当以下の糸を使用して釣りをするということは、現実的ではないので、釣り糸を細くしても魚には見えているという認識で釣りをした方が良さそうですね!
ハリスは光る?
釣り糸に関して面白い実験がありました。
いくら細くしても、ハリス自体が光を反射しているので、実際のところは良く見えるということなんです。
水中の糸の色の違いが、魚にはどのように見えるだろうか?
ということを、魚を使って答えを得るのは難しいので、人間の眼で確認した実験です。
スコットランドの海洋研究所のワードル博士たちが、
0.4ミリの太さの透明なナイロンラインと、それを染色(色を付けた)したナイロンラインを、水深25メートルの海中と水槽で観察した実験結果があります。
それによると、透明なナイロンラインは、横に張ると光って顕著に見えやすくなるが、染色するによって、輝きを減じたり消したりできるということ。重要な部分は、光の屈折率です。
ワードル博士の実験(要約)
難しくなるので、分かりやすくしたもの
①透明なナイロンを、水中で縦(水面と垂直)に張るとほとんど見えない。
横(水面と平行)あるいは、斜めに張るとラインが光って鮮明に見える。
縦張りでも結び目だけは、宝石のように光って見える。
②青に染めた糸は、横に張ると輝きがほとんど消えて見えにくく、縦に張ると横張りより見えやすい。
③黄色と緑のナイロンは、縦に張っても横に張っても見えにくい。
④縦に張っても横に張っても変わらず見えやすいものは、黒色、赤色、濃い緑、濃い青、灰褐色のナイロンライン。しかし横張では輝くような光はなくなる。
このワードル博士たちの説明が正しいのであれば、水の屈折率に近く、水中で見えにくいとされるフロロカーボンラインは、水中で横に張るとナイロンラインより光って見えやすいことになってしまいます。
この結果を、投げ釣りに当てはめると、
道糸は黄色、もしくは緑に染色(色付け)したラインが良い。
ハリスは、海底で横に這っているので、青く染色(色付け)したものが良い。
ということになる。
・・・あくまで、人間の眼で確認した実験結果です。
ハリスは見えにくいほうが良く釣れるは思い込み?
そもそも、 ハリスは細くしたり、見えにくくしたりすることが良く釣れる要因になるのでしょうか?
思い込みと感じる面白い話があります。
『松方弘樹・世界を釣る』というテレビ番組が放送されたこともある、芸能界屈指の釣り好き「松方弘樹」さんのマグロ釣りの師の一人で、松方弘樹さんが3位入賞を果たした1993年の米ボストン・ツナ・トーナメントに同行したマグロ延縄船の元船長をしておられた山田重太郎さんの体験談です。
マグロの延縄漁では、ハリスに相当する部分を餌縄と呼び、その餌縄の針に近い部分のことを釣元、遠い部分をセキヤマと言います。
当時も、セキヤマは細くて、強く、見えにくいナイロンが良いとされていましたが、山田氏は地中海のマグロ延縄のセキヤマを白、赤、黒の三色を使って操業し、地中海クロマグロの漁獲量は、常に白3:黒1:赤2の割合だったそうです。
それ以来、白色のセキヤマを使った延縄で、ほかの船の2~3倍の漁獲をあげ続けた!というから、おどろきです。
さらには、ほかの漁場では、キハダは赤色のセキヤマが一番よく、メバチとビンナガは白色のセキヤマが良かったとのこと。
「ハリスは見えにくいほうが良く釣れる」ということ自体、思い込みの可能性があると思わせる興味深い体験談でした。
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