クロダイ(チヌ)
クロダイ(チヌ)はタイ科に属する魚で、本州・四国・九州を中心に広く分布しています。
近縁種には、西日本を中心に生息する「キチヌ(キビレ)」や「ヘダイ」、さらに奄美以南に分布する「ミナミクロダイ」「ナンヨウチヌ」「オキナワチヌ」などがいます。
体色はシルバーグレーが基本で、サイズが大きくなるにつれて黒みが強くなっていくのが特徴です。
最大では60cmを超えることもありますが、同じタイ科のマダイと比べると成長は遅め。 3年で25cm前後、40cmを超えるまでには約9年かかるとも言われています。
――と、ここまでが一般的なクロダイの説明。
ここからは、実際に狙って釣っている立場としての個人的な印象を少し。
クロダイは磯のような本格的な釣り場はもちろん、港内や堤防、さらには河口域などの汽水域にも普通に姿を見せます。
岩礁帯・砂利・砂泥と底質を選ばず、時には水深50cmほどの驚くほど浅い場所に入り込むこともあります。
そう考えると、「沿岸ならどこにでもいる魚」というイメージを持たれやすい存在ですね。
そんなクロダイを狙い続けていると、だんだんと見えてくるのが、その独特な習性――というか、性格のクセ。
魚の性格って、だいたい一言でまとめられがちですよね。
たとえばピラニアなら「獰猛な魚」みたいに。
でも、クロダイに関しては、個体ごとの差がかなり大きいと感じます。
知れば知るほど違いが見えてきて、なかなか掴みきれない。 そこがまた、面白い魚なんです。
あるときは拍子抜けするほど簡単に釣れたり、 またあるときは、あらゆる手を尽くしてもまったく反応がなかったり……。
釣り全般に言える魅力でもありますが、クロダイはその振れ幅が特に大きい魚。
今回は、そんなクロダイならではの特徴をいくつか紹介していきます。
大胆な性格?
クロダイは警戒心が非常に強い魚として知られています。
一度警戒すると、エサを口にしても瞬時に吐き出したり、 ハリの付いたエサだけを巧みに避けたり、 エサの周囲を何度も回りながらなかなか食わないことも珍しくありません。
ところが一方で、まるで別の魚のような大胆さを見せることもあります。
周囲の魚を蹴散らすようにエサを独占したり、 太ハリスなどお構いなしにハリをくわえたまま泳ぎ出したり……。
このギャップが、クロダイの面白さでもあります。
こうした大胆モードに入っているときは連続ヒットすることも多く、 初心者でも比較的釣りやすい状況になります。
濁りが好き?
ダンゴ釣りでは、意図的に濁りを作り出します。
これは浅場での釣りに対応する目的もありますが、 クロダイの警戒心を和らげる効果が大きいとされています。
また、クロダイは「濁りそのもの」に興味を示し、 濁ったエリアに寄ってくる習性があるとも言われています。
自然界で濁りが発生する主な要因は、雨や風などの天候です。
強風による波立ち、雨による河川からの流れ込みなどで、 海中にはさまざまな濁りが生まれます。
大量の雨で真水が混ざることで生じる青緑色の濁り。
河川からの土砂流入や、サーフでの巻き上げによる茶色い濁り。
また、これらが混ざり合った複合的な濁りもあります。
この中で、特にクロダイの活性が上がりやすいのは「茶色い濁り」です。
釣行前日まで海が荒れていて、当日になって波が落ち着いた状況なら、 濁りが残っている可能性があります。
そんな日は、クロダイ狙いを視野に入れることで良い釣果につながることも多いです。
めちゃくちゃ悪食?
クロダイは典型的な雑食性の魚です。
主に好んで食べるのは、「甲殻類」「多毛類」「貝類」。
エビやカニなどの甲殻類、 岩虫やゴカイなどの多毛類、 イガイ(カラス貝)やカキといった貝類が代表的です。
春の産卵期に釣れたクロダイの胃の中を確認すると、 イガイと一緒に海藻が入っていることも珍しくありません。
地域差はあるにせよ、かなり幅広いものを口にしていることが分かります。
また、スイカやトウモロコシなど、 一般的な魚では考えられないエサで釣れることも有名ですね。
中には、缶詰のみかんやサクランボ、 さらにはスナック菓子で釣れたという話まであります。
そして極めつけが……
生卵。
殻ごと丸呑み。 これはさすがに驚きです。
クロダイ(チヌ)は、警戒心が強い一方で、ときに信じられないほど大胆な行動を見せる不思議な魚です。
濁りに反応したり、個体ごとに性格がまったく違ったり、さらには「それ、本当に食うの?」というようなエサまで口にすることもあります。
実際、クロダイは雑食性が非常に強く、想像以上に幅広いエサで釣れる魚としても知られています。
「クロダイって結局、何を食べるの?」 「定番エサ以外でも釣れるの?」
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