釣り上げた魚を見て「食べ頃サイズだね」なんて、よく聞きますよね。
僕は料理人ではありませんが、長く釣りをしてきた中で、ひとつだけはっきり言えることがあります。
魚の美味しさは、サイズだけでは決まりません。
魚の味は「サイズ」では決められない
例えば真鯛。
一般的には40〜50cm前後が美味しいと言われ、大型になると「大味になる」なんて話もよく聞きます。
ですが、実際に産卵期(いわゆる乗っ込みシーズン)の真鯛を、サイズ違いで何匹も食べ比べてみると、必ずしもそうとは限りません。
70cmクラスの大型でも、本当に美味しい個体は驚くほど美味しい。
※部位によって筋っぽさを感じることはあります。

反対に、「食べ頃サイズ」と言われる大きさでも、味が乗っていない個体も確かに存在します。
これは、同じ時期・同じ釣り方で釣った真鯛をまとめて食べ比べているからこそ、はっきり分かることです。
見た目で判断するなら、体高があり、腹が張っている個体(産卵直前)は、やはり味が良い傾向にあります。
一方で、産卵を終えて痩せてしまった魚は、どうしても味が落ちます。
新鮮な魚は、本当に美味しいのか?
よく言われますよね。
「新鮮な魚を食べられるのは、釣り人の特権だ」
確かに、釣ってすぐの魚を食べられるのは魅力的です。
ですが、正直に言うと、釣ったその日に刺身で食べた魚が「一番美味しい」とは、僕はあまり感じていません。
魚種にもよりますが、釣った当日に捌いた刺身は、身が硬く、旨みも控えめに感じることが多いです。
もちろん好みはあります。
例えばイカ。
釣りたてのイカは、器の柄が透けるほど透明で、コリコリとした食感が楽しめます。

これはこれで、釣り人ならではの楽しみです。
ですが、スーパーや鮮魚店に並ぶイカの刺身は、真っ白で柔らかく、甘みが強い。

どちらが美味しいかは、完全に好みの問題ですね。
「寝かせる」ことで魚は美味しくなる
もし釣りをされるなら、ぜひ一度試してみてほしいことがあります。
釣った魚をその日に捌き、刺身を3日間に分けて食べてみる。
時間が経つにつれて、身の硬さが取れ、しっとりとして旨みが増していくのが分かるはずです。
釣れた時間にもよりますが、個人的には3日目あたりが一番美味しいと感じます。
これは、魚が死んだあとに身の成分が「イノシン酸」という旨み成分へ変化するためで、いわゆる「熟成」です。
最近話題の熟成肉と、原理は同じですね。
この考え方を活かした加工方法が、干物や昆布締めです。
干物は、塩水で締めて干すことで水分が抜け、時間とともに旨みが増します。
昆布締めは、魚の水分が昆布に吸われ、同時に昆布の旨み(グルタミン酸)が身に移ることで、短時間でも味が大きく変わります。
釣れた魚を翌日に美味しく食べたいなら、昆布締めは特におすすめです。
しっとりとした食感と、深い旨みを手軽に楽しめます。
新鮮な食感を楽しむ魚もあれば、寝かせて旨みを引き出す魚もある。
その両方を味わえるのが、釣りの大きな魅力だと改めて感じています。

